エリックの挑戦3

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 昨年、この魔法訓練では偉大な伝説が残された。雷のビキニを着た先輩の雄姿が、後輩の女子生徒の心を掴んだのだ。それ以来、魔法訓練ではビキニを着る生徒が増えた。もちろん、男子学生はもろ手を挙げて賛成している。  実は、あの片胸ポロリ事件もよ~く知られている。殿下は誰にも見られていないと思っているが、あれはバッチリ見られていた。が、命が惜しいのでみんな黙っている。フィルデリア嬢の片乳を見てしまったなどと、アイザーク殿下に知られた場合、黒子に陰で何をされるかわからない。  ミランダ嬢は、白ビキニでその胸をたぷんたぷんとさせながら、先制攻撃をしてきた。予想した雷ではなく、水系の攻撃「水砲弾」を放ってきた。――ダンっと私のつくる盾魔法で、何とか防ぐ。次は私の攻撃の番だ。手を上げ、水系に強い雷をよぼうとしたその時、その瞬間、――水でツルっと滑ってしまった。 ――むにゅ――  顔に、気持ちの良い感触がある。挟まれている。私はミランダ嬢のたわわな胸に顔をうずめるように、こけてしまった。咄嗟にだした手は、ミランダ嬢の胸を横から支えていた。 『キャー! サンダー!』  しまった、雷を落とされる。だが、ミランダ嬢の魔力であれば、私の盾で何とか防ぎきれるハズ…… ――ズドオォォォォン――  異様に強力な雷が落ちてきた。俺は目の前が白くなりながら、ミランダ嬢を守るように傍らに立つ者をみた。  あれはリーディウ・エルドバウ、魔法師団長の息子だ。彼も魔力の高さから、幼少の頃から魔術を鍛えられていた。ようするに、むちゃむちゃ強い。そうだ、彼らは婚約していたな…… 「悪く思うな。――ま、殺しはしないから、大丈夫だ」  私に落ちてきた雷、あれはリーディウが補強したのだろう。私はこけただけだ。何故だ。理不尽だ。ちょっと感触の良い胸を味わってしまったが、別にペロペロもチューもしていない。なのに、これだけの攻撃をされた。そして私は意識を手放しながら、リーディウ・エルドバウが呟くのを聞いた。「僕より近くでミランダのビキニ姿を見ただろう……万死に値する」とか言っていた…
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