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愛は
「真衣?」
夜が明ける。でも明けきらない。
そんな夜と朝の狭間。
わたしの意識は夜にいるのか、朝にあるのか。
よく、わからない。
「おはよう」
でも彼の一声でわたしの世界は朝になった。
「今日も仕事って言ってたよな?」
彼の声で一日がはじまる。なんのへんてつもないわたしの今日が、はじまる。
「今日さ、伝えたいことがあるんだ。仕事が終わったらいつもの場所に来てほしい」
男の人にしてはちょっと高めの声。目尻を下げて優しく笑う彼に、ぴったりな声。
「じゃあまた。まってるから」
そう言って、声は途切れた。
役目を終えた真っ暗な画面に映し出される自分の寝起きの顔は、情けないくらい浮腫んでしまっていた。
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