がってん

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がってん

点を合わせて理解しろ 点を合わせて組み立てろ がってん がってん 嫌がんないで 首を縦に振らないで 男は 黙って 頷いて もちろん まかせろ がってんだ そりゃあ がってん承知の助 【がってん】 「や…やっぱりオラには無理でシ。帰らせてくんろ」 くわっ、と周りにいた男達は猛獣の様に目を剥いた。 「速水さんそれは不可能ですね。」 「あらー、意外にしぶとい」 「まあだ言うんか!ワレェ!男ならいい加減に腹括れ!」 その様子にひい、と哀れな男はパイプ椅子から転げてもんどり落ちた。 「だ…だけんどもぉ、オラにはとぉても、とぉてもこげなこつは無理なんです。こげなこつしとったら、お天道様に顔向けて歩けねっす。お願いしまっす、オラを帰らせてつかあさい」 弱気に聞き取り憎い言語を話す速水はその割に良い体をしている。 農作業。 田植で鍛えた腰、米を抱える為の太い腕、浅黒い日焼けした健康的な肌、真っ黒な毛が邪魔で目は見えないが骨格のいい顎に綺麗な鼻梁を顔に備えている。 逞しい体とふやふやと話す言葉使いはひどくミスマッチだ。 待合室の様な狭い六畳のこの部屋に三人官女よろしく三人の黒いスーツを着た男達が手を合わせて懇願する男を睨みつけていた。 一人目の男 銀縁の眼鏡をくい、と上げて細い面を速水を見下ろす。手には白いスーツを抱えて速水につめ寄る。 「困りましたね、襲名式は後30分後だ。瀧口君、君はちゃんとこの御仁が承諾してくれたと言いましたよね?」 二人目の男 見た目からしていい加減そうな猫毛の茶髪 手に持っている新品の革靴を無造作にもって一人目の男に笑いかける。 「矢部ちゃん怖いよー。その眼鏡変えた方がいいぜ?ハ●ジのロッテンマイヤーさんみたいだよ。うーん、了解って言うか、旦那はいいですとは言ったよ。それが嫌ですのいいです、かオッケー!な、いいですとは聞いてないけどねー。だって無理だもん。あたしゃ騙しが専門、商談や交渉には向いてない。ま、力馬鹿の大久保ちゃんよりは馬鹿でもないけど」 三人目の男 ぎょろりとした目を瀧口に向けて見事に逆立てた髪が落ちやしないか気にしながら他の二人を怒鳴りつけた。 櫛とドライヤーを振り回して怒鳴り散らす。 「たきぐちぃ!てめえって奴はどこまで薄らとんかちなんだ!ふざけるの頭ん中だけでいいんだよ!ちったあ働け!いいか、おっ死なない程度に一発二発殴るか首の皮ちょっとひん剥いて徹底的に服従させときゃこんな事には」
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