悪魔で使用人は私の宝物

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現在、高校2年生になろうとしている私は数週間前から狭く薄暗い殺風景なアパートに父親と2人で暮らし始めていた。 たまりにたまった食器の山、捨ててもすぐにたまるゴミが散乱していて、そして唯一テレビがある部屋で父親が部屋で寝っ転がっていた。 母親は最近他界したばかりなのに、父親はのんきに酒を飲み続けていた。 ビールが空になっては、冷蔵庫に向かってビールを取り出し、ひたすら飲み続けており、しまいには、「うるさい奴がいなくなってラッキー」と酔っぱらいながら叫んでいるのを、私は黙って見つめることしか出来なかった。 「お母さん…。」 何度呼んでも返事が返ってくることはないと分かっているが、つい口に出てしまうそのセリフは、徐々に私の胸の内を強く締め付けるような苦しい感覚にさせる。 声が聞きたい、お母さんの手料理が食べたい、何度も何度もお母さんのことを思い出しては泣いての繰り返しだった。 だが、そんなある日、一気に窮地に追い込まれる出来事が起こった。 少し遠くの店に買い物に出かけていた私は、重たい買い物袋を両手に家に向かって帰ろうとしていた。 もうすぐ家に着くぞと顔を上げた時、見知らぬ男性2人が玄関前に立っていた。 私はそれを見た瞬間、一気に血の気が引いた。 以前もこの家に2人組が来ていたのを覚えており、その男性たちは借金取りだと知っていたからだ。 「逃げなくちゃ…。」 私は、家の反対方向に走り、家から逃げるように走り続けた。 でも、もうすぐで日が落ちていくのに、このまま家に帰れないと、警察に補導されるのも時間の問題だと考えながら、人並を歩き続けていた。 「そろそろ帰らないと…。」 私は、再び方向転換し、家の方に帰ろうとしたその時、後ろにいた男性に思いっきりぶつかってしまった。 「いたた…、あ!ごめんなさい…!」 私は、慌てて顔を下げて謝ると、何故か男性は何にも言わずずっと無言状態だったので、私は恐る恐る顔を上げた。 すると、そこには茶髪に片耳にピアスをつけていた若い男性がこちらをまじまじと見つめていた。 「あの、君……。」 男性は、声を掛けようとしたが、私はその場にいることが耐えられず、男性の声をさえぎるように、「あ…、私、謝りましたから、これで失礼します!!」 と、私は、逃げるようにその場を後にした。 私は、全速力で走り、持てる力を全て使ったかのように、家に着くころには疲れ果てていた。 「はぁ…、やっと家に帰ってこれた…。」 私は、家の前につき、借金取りがいないことを確認し、安心しながら鍵を使って開けようとしたその時、玄関のドアが開いてることに気づいた。 「どうして…?」 私は、怖くなって一旦後ずさりすると、扉が突然開き、私のを手を掴み扉の奥へと引きずりこまれた。 その衝撃で、私は床に倒れこみ、急いで大きな声を出そうとすると、大きな手が私の口を覆い、声が出せなかった。 私は、目を恐る恐る開けると、そこには2人の借金取りがいた。 「おたくのお父さんが金を返さないから、部屋に上がっただけだからな。大声出すなよ。」 そう言い、借金取りは私をにらみつけるように、口止めをし、私はその場でうなずくことしか出来なかった。 「ところで、お父さんはいつ帰ってくるのかな?」 「もうすぐ帰ってくるはずです…。」 私は、お父さんがもうすぐ帰ってくると伝えると、借金取りはそのまま家に居続けたが、お父さんが帰ってくることはなかった。 「どうして…?」 私は、その言葉だけがよぎった。 いつもなら帰ってくるはずの時間帯なのに、なんで帰ってこないの…? 私は、一気に瞳から涙があふれ、今にも頬を伝って涙がこぼれそうだった。 どうして私に何も言わずに逃げたの…? 私が、邪魔だったの…? どうして…どうしてなの…!
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