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巡る季節、進む時、世は無常。来るべき時が訪れた。愛された西の帝の、崩御である。そして新たな帝の即位の儀。だが、弟の姿は其処もやはり無く。其れでも、誰より一番弟を理解している姉は、ちゃんと分かっていた。此の姿を、密やかに祝福してくれている筈だと。
そして。西の皇女が帝として即位し程無く、東の国も世代交代が行われたとの事。東の国を治めていた先代の帝は、温厚で友好的な関係を保てたのだが、其の第一子となる皇子はどうも違う様だと言う情報が入って来た。美しい容姿もさることながら、文武両道は勿論、狡猾な野心家であるらしい。にも関わらず、家臣からの期待と信頼が厚いとの情報も。此の報告ではどのような統治をするか、全く読めない。女帝は不安と緊張の中、何時も気を休める事は出来なかった。
案の定、恐れた結果が出てしまう。東の帝が、遥か昔に分かたれた両国の冷戦終結を主な目的として、西の女帝へ政略結婚を申し出て来たのだ。東西統合は両国民の多くが強く望むも、暗黙に避けられてきた最大の政治である。
何と今回の申し出を断るならば、物資供給の一切を停止すると迄。此れ迄分かたれたとはいえ、互いに頼っていた物資も多く存在する。地形や環境的に手に入りにくい物も、東に多く存在する事が分かっての事だろう。此れは、宣戦布告と言っても良いもの。更に最悪な事に、東の帝は戦をも辞さない覚悟で両国を統合するつもりでいるとの報告を密に受ける。息を飲む女帝。現状東と西では、軍事力にかなり差がある事も報告された。此の暴挙に、此方が勇み仕掛ければ、劣勢を強いられ多くの命が失われる事は必至だ。更に、其の犠牲を払って得るものは、無に等しい。己が嫁いでしまえば、其れは国全ての意思となる。其の後、自国の民達の幸せや自由が保証されるのか等信用は一切無いのだ。
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