星の偶像

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僕はハンカチを受け取った。別にあげてしまってもいいんだけど、この顔色大丈夫かな、と思いながら。 彼女はゆっくりと立ち上がるとフラフラと歩いて行った。背中を見送ってから帰途についたが気がかりなまま、何となく翌日以降、毎日公園に寄っては少しボンヤリする日が続いた。 7日間程経過しただろうか。またその公園に行った。 すると。いた!彼女だ。同じベンチに座っているのは長い髪の女性、顔はまた下を向いているが、その目線は手にした本に向いている。 前まで歩いて行くと彼女は顔を上げた。僕が会釈するとまた本に目を落とした。 オイオイ、と思った僕は「あの、こんにちは。今日は大丈夫なの」と声をかけた。 伺うようにまた顔をあげてちょっと首をかしげこちらを向いた彼女は目をくるんとさせた。この間とは別人のように目に表情がある。少し考えた後、「あ、ぁぁあ」と言って親指と人差指で四角を作ってみせた。 「そっそ。ハンカチは、今日は要らない?」 と僕。 彼女はゆっくりにっこりした。まるであんなに気分が悪そうだったことは無かったかのように。 「やーだ」 笑った顔に僕の目は釘付けになってしまった。可愛い。改めて見るととても端正な顔立ちをしている。透明な目に光が差している。 それが彼女との出会いそして僕が彼女に恋に落ちた瞬間。
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