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彼女の存在、温かい春の光のようだった彼女の喪失が、マーガレットと会話している最中にさえチクチクじわじわと僕を虚無感で苛んだ。(さいなんだ)
マーガレットに彼女のことを話してみるか?
ともするとそんな考えが頭に浮かぶ。
しかし結局マーガレットに彼女の話をすることはないのだった。
マーガレットには話せない僕の胸の隙間。
やさしく聴いてくれるだろうマーガレットだけれど、なんでも話して訴えた幼き日のマネキンにも、話せない僕の花苑。(はなぞの)
悲しくなるのは致し方ない。
しかしマーガレットが居るようになってからそれはそれなりに日々が過ぎていくのにつれ悲しみのもたらす痛みは和らいだような気もする。
しかしともすると。ふと、彩られた街を歩いているとき、深夜家に帰り空きっ腹を満たすラーメンを煮ているとき、スッと自分が消えてしまうようなしまってもいいという感覚に陥る。
普段は仕事に集中している。しかし夕が夜に変わろうとする時間帯や朝目覚めたとき
この世界のどこかに居るあの彼女とはもう会わない会えない別離をした事を思い出す。
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