episode 2

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俺の通う大学は家から一時間位の場所にある。 別に大学なんて家から通える距離であれば何処でも良かった。   父さんの負担を少しでも減らす為に一人暮らしはしたくなかったというのが理由の一つに入るけれど…それともう一つは。   美羽から離れたくなかった。 そちらの方が俺にとっては大きい。 子供の頃から一緒に居てそれが当たり前になっている生活を変えるなんて俺的には考えられなかった。 朝起きて美羽の作る朝ご飯を食べて、帰って来るとまた美羽がキッチンで夕飯の支度をしている。 父さんも帰って来て三人でテーブルを囲む。 斜め前に座る美羽の顔色を見ながら、 「今日は目の下にくまが出てるな…。」 「ん?今日はあまり食べないな。具合でも悪いのかな…。」 なんて思いながら食事をするのが好きだ。 たまに父さんが残業で遅く帰って来る日があったりする。 そんな夜は勿論美羽と二人きり。 二人で夕飯を済ませ食べ終わると俺はソファにダランと体を預けてテレビを見る。 父さんが残業の日ではなくても同じ様に普段もこんな感じだけれど。 で、美羽は美羽で食べ終わると食器を洗って朝干しておいた洗濯物をたたみ始める。 最初の頃は自分の下着を美羽に見られるのが恥ずかしかったけれどもうすっかり慣れてしまった。   美羽は父さんと俺の下着を完璧に仕分けられる様になっていた。 この家はリビングと繋がって奥に五畳の和室があって何時も美羽はそこで洗濯物を広げて畳んでいる。 ソファで寝転がりながらテレビを見ていると目線の先に丁度後ろ姿をこちらに向けて洗濯物に手をつけている美羽が見える。 …父さんは…残業で…居ない…。 美羽の後ろ姿を眺めながら邪な思いがふと過る夜だって正直無くは無い。 けれど俺が男で美羽が女だからの一言で終わらない気持ちが俺にはあるから。 自分なんか大して大事なんかじゃなくて俺は美羽が大切でずっと守っていたい。 他の誰にも触れさせたくも無い。 これは単に我がままなのかもしれないな俺の。 こんな風に想っているなんて美羽が知ったらきっと美羽は俺を嫌いになるだろうな。 自分でも分かってる…こんな奴彼氏でも何でも無いただの“弟”なのに気持ち悪いって。 気持ち悪いんだよ…俺は。 …“姉弟”…やらないといけないのにな…。
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