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翌朝────。
俺は普段通りに朝起きて大学に向かった。
自分で撒いた種とはいえ昨夜の事で精神的に疲れてはいたがそれよりも亜由美の方が心配でならなかった。
大学に着くなりそのまま亜由美の教室に顔を出した。
何時もの派手な格好は直ぐに目に付くのだが一通り見回してみても亜由美の姿は無かった。
入り口近くに居た子に話掛けてみる。
「あのさ、亜由美って今日休みかな?それともまだ来てない?」
「あれ?亜由美の元彼だよね?え?亜由美なら今日休むって連絡来たよ。なんか理由は分からないけど数日間休むって。」
「あぁ、そ、そうなんだ。ありがとう。」
そうか。
そうだよな。
俺のせいであんな風に人が変わったみたいになっちゃったんだもんな。
次の日ケロリと何事も無かった様になんて来られるはずも無いよな。
俺なんかよりも遙かに精神的苦痛を味わったのは亜由美なんだから。
「腕の具合はどう?」
その日の帰り俺はバイトを休ませてもらって橋本のアパートに来ていた。
あの後亜由美を見送って橋本の家に行き腕の手当てを手伝い夜も遅かったので橋本がベッドに入るのを見届けてから帰った。
けれど改めて俺の顔を見た橋本は昨日の事があったせいか何となく俺に対してぎこちなくて。
だけど俺と亜由美との間に何があって最後二人で何を話したのかを俺は不安にさせてしまった橋本にきちんと説明をしなければならないと思っていた。
きっとずっと気にしているはずだから。
「こんな感じ。青くなっちゃったけど。押すと痛くてまだかかるかも。」
袖を巻くって掴まれた腕を見た俺はズキンとまるで胸が切り裂かれるみたいに痛くなった。
「ごめん…橋本ごめんっ…。」
涙声で詰まる俺の背中に橋本はそっと手を添える。
あんな状況で橋本自身も相当怖い思いをしただろう。
それなのにこんな俺にこうやって温かい手を差し伸べてくれる橋本の優しさにまた涙で一杯になった。
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