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正門で待ち合わせをして大学から歩いて二、三分の場所にあるミントへ向かった。
レトロな造りの扉を開けるとカランカランとベルが鳴る。
店員さんに案内されると奥のゆったり座れそうなソファ席に通された。
店内はやや混んでいて辺りを見回すと知り合いではないがなんとなく大学で見た事のある顔があちらこちらにあった。
これだけ美味しくて近かったら帰りに皆寄ってしまうよな…なんて思っていた。
「私チョコレートパフェ。拓はコーヒーで良い?」
「うん。」
近くに居た店員さんに注文をして出されたおしぼりを手にした時、亜由美がまたさっきの話をぶり返す。
「拓さ。昨日私が電話やメッセージ送った時間から寝ちゃってたの?」
「またその話か…さっき言った通りだよ。寝てた。」
「だって連絡したの21時だよ?寝るには早いよ。」
俺は亜由美のしつこい追求に苛立ち始める。
「は~…。俺だって疲れてそういう事もたまにはあるよ。いい加減にしろよ。」
そう言うと亜由美はふて腐れた顔を俺に向けてきた。
「拓。最近冷たいんだもん。家にも来てくれないし。あんまり会ってもくれないし。私、暫く拓に…触れられて無いんですけど。」
思わず亜由美から目を反らす。
「こんな所でそういう事言うなよ。」
「だって本当の事じゃん。私だって寂しいよ…。」
「お待たせ致しました。」
俺の心を察してくれたかの様にタイミング良く注文した二つが運ばれて来た。
亜由美の目の前に置かれたパフェはバニラアイスとチョコアイスが山のように盛られチョコレートシロップがふんだんにかけられていて見ているだけでなんだかゲップが出てきてしまいそうだった。
「…。」
「?」
亜由美…溶けるぞ。
なかなかスプーンを手にしない亜由美に食べるよう促す。
それでも頑として手を動かそうとしない亜由美にもう呆れてしまう。
俺も挽き立ての豆で入れてくれたコーヒーを口に含みながらテーブルに置かれたスマホに目を落とす。
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