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美羽の熱も下がり意識もはっきりしてるのを感じた俺は安堵して自分の部屋へ戻った。
敏樹から呑み会の連絡が来ていたのをふと思い出すと返信をし、店長の方へも連絡をした。
橋本に亜由美にと二人に毎週の様に会いに行く用も無くなりまた前みたいにシフトを増やす事にした。
俺が前からシフトを沢山入れるのを店長は快く思っているそうで家の店に就職して一緒に働いて欲しいと迄言ってくれている。
それと俺的にはそんな風に思った事は無いが周りから言わせれば仕事が出来ると評判らしかった。
バイトが任せられる仕事なんて美羽が熟している様な仕事内容とは比べ物にならないのだから皆が出来ると思うのにと褒められても自分をあまり認めてはいなかったのだった。
スマホをポケットにしまい美羽もご飯を食べ終わったので俺は財布を手にしスーパーに行く事にした。
さっき冷蔵庫を開けた際にミネラルウォーターが最後だったのでそれと一緒に明日の食材なんかも適当に見繕って買って来ようと部屋を出た。
廊下に出て美羽の部屋の前に立ちノックをしようと左手を上げたが考えが変わりそのまま下に下ろした。
薬を飲んで眠っているかもしれないと。
美羽に聞こえ無い様にして玄関の扉を静かに閉めた。
最近のスーパーはお弁当にしてもパンにしても品揃えが豊富で独身のサラリーマンが仕事帰りにお弁当屋代わりとしてスーパーに寄る気持ちが分かる。
普段美羽に買い物を頼んでばかりで甘えていた俺はこのスーパーが目新しい物に見えて楽しくなっていた。
来年ももしかしたら俺もこのスーパーに仕事帰りに寄って家で缶ビール片手にお弁当を頬張っているのかもしれないと想像なんかしながら。
店内を進むとお弁当コーナーで鶏のタルタルソース弁当が目に入りさっき卵粥を食べたばかりだが夜遅くにお腹が空くと予想して一つカゴに入れる。
父さんの好きな焼き肉のカルビ丼も入れた。
お弁当と同じ場所に惣菜なんかも売っていて単品の唐揚げやコロッケ、枝豆なんかもあった。
ん?大学いもか…甘い蜜は美羽が好きそうだな…買って行こう。
大学いもなんて子供の頃に食べたきりで懐かしさの余り、いや、美羽が好きそうだから…の方が気持ちが大きかった。
殆ど主婦で賑わう店内を一周してお弁当やらミネラルウォーターやらその他ついつい余計な物迄入ってしまったカゴを持ちながらお会計をしようとレジに並んだがどのレジもなかなかの列を作っていて少し時間が掛かってしまった。
十分弱並びやっと会見を終えて外に出ると既に日は落ち暗くなっていた。
両手にパンパンのビニール袋がそれぞれ一つずつぶら下がりミネラルウォーターがずっしりと重たくて今迄の美羽への負担を反省した。
今度からは俺が買い出し位は行こう。
そろそろ父さんも帰って来るかな。
美羽は熱下がってるかな…。
腕にグッと力を入れて家へと向かった。
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