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美羽の様子を察知した俺は美羽との電話を切ると直ぐさまバイト仲間に連絡を取りシフトを代わってもらう様に頼んだ。
シフトの交代をしてもらった俺は美羽に折り返し電話を掛けて二人の中間地点の駅で落ち合う事に決めた。
美羽が待っていると思うだけで気持ちが落ち着かずホームに入って来る電車に誰よりも早く乗り込んだ。
私は心の声を拓にぶつけた。
それは自分に対して少しの罪悪感と共に爽快感にも似た感情が込み上げてきた。
自分でも大それた事をしていると十分に理解していた。
だけど一歩踏み出さなかったら私は私で居られないんだ。
ずっと良い子の仮面を被ったままの偽りの日々を送るそんな人生は生きずらいだけなんだ。
私は、私という人間は感情的で皆が思う程良い子ちゃんなんかでも無ければまだまだ未熟な人間。
殻を破った私は周りに迷惑を掛けるかもしれない。
でも背中を押してくれた瞬一さんはきっとそんな私を望んでいてくれたに違いない。
私は本当の私をもっと受け入れて愛してあげなければならない。
今迄の私を解放して拓だけを想う私を。
待ち合わせをした駅に電車が到着すると窓越しに拓が見えた。
ドアが開きホームに降りると混み合う人の間をかき分けながら拓の元へと走った。
途中何回も人にぶつかりそうになりながら拓を目指し急いだ。
あと数メートルの距離で拓も私を見つけ歩み寄る。
拓っ…。
拓の匂いに包まれる。
私は両手を広げて拓の胸に飛び込んだ。
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