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ポタッ…。
「っ拓…?」
美羽が呟く。
美羽に被さる俺は無意識の内に涙を流していた。
スッと美羽の細い指が俺の涙を拭う。
乱れる呼吸で美羽の首元に頭を埋め抱き締める様にして俺達は果てた。
美羽を抱いた後も体は美羽を求め一晩中俺は美羽を背中から包み込んで少しの間も離しはしなかった。
翌朝──────。
耳元でスマホのアラームが鳴り響きまだこうして眠っていたいのにとなかなか体を美羽から離す事が出来ないでいるとクルッと頭を回転させた美羽が俺の眠たげな顔を見ておはようと言って唇を重ねてきた。
そしてアラームを止めてくれて体をくっつけてくると俺も段々と目が開いていく。
窓からは朝日が差し込みその眩しさで朝だと改めて認識し同じ布団に寝ているのが美羽であるこの現実に幸せを感じた。
「おはよう美羽。」
俺もギュッと抱き締める。
「拓もおはよう。」
ニコリと笑う美羽。
「昨日は何かその…涙が出てきて自分でも驚いた。」
「拓…大丈夫?」
「うん。心配かけてごめん。あの涙はきっと幸せ過ぎて出てきた涙だと俺はそう思う。心から愛している人と始めて結ばれたから俺。」
「うわ…その言葉だけでも十分嬉しい私。」
どうしてもっと素直になれなかったのかが不思議な位に思えるそんな朝でもあった。
もっと早く気持ちを美羽に伝えられていたら…なんて。
でもそれが出来なかった理由があったからこそ俺達はお互いの気持ちを深く考え想う事が出来た。
結果的に橋本や神谷さんを巻き込んでしまったのが悔やまれるがその二人が与えてくれた優しさや思いを胸にこれから美羽と生きて行きたいと強く思った。
「そうだ美羽。」
「ん?」
「もう一つ。」
美羽がキョトンとした顔で俺を見つめる。
「ずっと俺と一緒に居て下さい。」
「そうします。ずっと一緒に居ます。」
愛を確かめ合うのは時にくすぐったいのだという事も知った。
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