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このところ美羽と顔を合わせると変に突っかかってしまいそうで毎日の様にバイトやら遊びやら予定を入れてわざと帰宅時間を遅くしていた。
帰って風呂に入って寝るだけの生活に。
そうすればなるべく美羽と会わないで済む。
暫く気持ちが落ち着く迄このリズムを保ち時間が解決してくれるのを待つ事にした。
亜由美ともあの日を最後に一度も連絡は無かった。
美羽で頭が一杯の時にあの調子で何やかんや来られても正直困るし、今だったら何の迷いも無く「別れよう。」の一言を伝える事になっていただろう。
亜由美に構う余裕は俺には少しも無い。
あれから一週間。
ふと美羽の顔が浮かぶ。
美羽の方はあんな俺を見てどう思ったのかな。
ガキッぽいって思ったよな絶対。
はは…格好悪りぃ。
…気持ち悪いって…思ったかな。
美羽…。
側に居たい。
ただそれだけなんだ─────────。
カサカサと音を立てながらコンビニの袋を手に俺はマンションに向かって夜道を歩いていた。
今日はバイトがあり風呂の後で食べようと途中コンビニでミネラルウォーターとスナック菓子を買った。
マンションに着いた俺はエレベーターを呼ぶ為ボタンを押そうとした時、5の番号が目に入った。
五階…だれか下りたのかな。
住まいが五階だった為少し気にしてしまったのだが残業で遅くなった父さんかもしれないし例え美羽であっても俺は風呂に入って寝てしまうだけだとそんな風に考えていた。
少しして一階に下りてきたエレベーターに乗り込み、もうその頃には何の疑いも無くすんなりと五階のボタンを押して上へと上がっていっていた。
ガシャンと扉が開き歩き出したその時家の前で誰かが立っていた。
こんな夜に…?
ゆっくりと遠くから確認していく様に近づくと亜由美がこちらを見ていた。
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