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んっ…。
スマホの目覚まし時計が鳴っている。
モゾモゾと布団の中から手を伸ばしてスマホを手にしアラームを止める。
着信…メッセージ…だっる。
朝が弱くて大体不機嫌な俺を余計に不機嫌にさせる亜由美からの意味の無い連絡。
電話を掛けてきたと思えば、「用は無いけど電話しちゃった。」とか、メッセージに関しては終わりの見えないやり取りが面倒になって「うん。そう。じゃ。」とか素っ気ない返事で最近は済ませている。
そのせいか俺に余計にかまって欲しい様で前にも増して頻繁に連絡が入るようになってしまった。
男と違って女の人は…いや、特に亜由美はそういうやり取りが好きなタイプなんだ。
女の人でもさっぱりとしている人もいるし。
そろそろ潮時かもな…。
なんて事を呟きながらスマホを呆れた顔でベッドに放った。
まだ眠たい頭で部屋を出る。
リビングの扉をガチャリと開けた。
良い匂い…ベーコンエッグかな。
「あ、拓おはよう。」
「おはよう。やっぱりベーコンエッグだ。」
テーブルに並べられた三つのベーコンエッグに目をやる。
「拓、本当鼻は良いよね。」
「鼻はって?顔も褒めろよ。」
「ごめんごめん。朝から失礼しました。さっ、食べてね。」
我が家の食事は美羽が毎日作ってくれる。
美羽が中学生になった頃、自ら申し出てそうなった。
他にもこの家の家事全般をこなしてくれている美羽。
男二人の暮らしは正直手が行き届かない部分もあったので美羽が担当してくれた事によって大分変わった。
洗濯物は柔軟剤とやらを投入して洗っている様で服は柔らかく良い香りがするし、ご飯に関しては外食が減りバランスの取れた食事を用意してくれるから俺も父さんも風邪をひきにくくなった気がする。
毎日は大変だから気が向いた時に家事はやってと父さんが頼んでもよっぽどの用事が無い限りきちんとやってくれる。
料理も洗濯も家事は好きなのだとそればかり言って。
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