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日曜日。
『朝九時にマンションの下まで迎えに行くよ…。』
神谷さんからそう連絡を受けていた。
私は早起きして…というかやはり緊張してなかなか寝付けず夜中に何度も目を覚まして結局最後は夜明けと共にそのまま起きてしまっていた。
年上の大人な神谷さんと二人。
学生時代とは雰囲気が違うドライブデート。
デート…。
その括りになるのかな。
ただ甘い物巡りしようって誘われただけなんだけれど。
私が勝手にそう思っていたとしても神谷さんからしたらただのドライブだったら私凄く恥ずかしい。
神谷さんは会社の先輩で二人共甘い物が好きでたまたま私を誘ってくれた気の良い大人のお兄さん…位に思っておく事にしよう。
クローゼットから何着か洋服を手にし鏡の前で合わせながら一人そんな事を呟いていると玄関の方で音がした。
日曜日もバイトなんだ拓…。
朝から夜迄通しの日なのかな。
何時勉強してるんだろうと思う位に家に居ない拓。
お父さんも帰りが最近遅くて三人揃うタイミングがあまりないのできちんと話も出来ていない。
もどかしさを抱えながらそんな毎日を送っていた矢先に神谷さんからのこのお誘いがあり私的にも気分転換になれば良いなと思ったりもしていた。
髪の毛も今日は洋服に合わせてダウンスタイルにしてみた。
用意も整い壁掛け時計を見ると約束の九時を刺している。
ブブブ…。
テーブルに置かれたスマホに神谷さんからメッセージが入った。
『下に降りてきて。』
少しの緊張を隠しながら鞄にスマホをさっと入れてマンションの下へと急いだ。
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