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それから二十分程で目的地の店に到着した私達はなんとか空いていた駐車場に車を止めて店の中に入った。
扉を開けた途端に殆ど店内は人で埋め尽くされているのが一目で確認出来た。
日曜日ともなれば子供連れのファミリー層も多く子供の甲高い声もあちらこちらから聞こえてくる。
まず先に壁側に設置してある棚に向かった。
そこにはかごに入ったチョコが味違いで幾つも並べられており私はトレーに全種類をのせた。
味は勿論の事、このお店のチョコは包み紙が可愛いくて食べ終わった後にコレクションとして捨てないでとっておく人も居る位だ。
そんな色取り取りの可愛いチョコを私が迷わずトレーにのせているのを後ろから覗いていた神谷さん。
「高井さん手際良すぎ。」
「あはは。お店入った瞬間スイッチ入りました。」
「うん。俺も。あ、でもショーケースの方にも生チョコがあるからそれも頭入れつつ買った方が良いかも。」
「生のもあるんですか!?」
「おっ…またテンション上がってきた?」
神谷さんはクイクイっとショーケースの方を指差して私達は人をかき分けながらその前に行った。
箱に丁寧に収められたそれぞれの大きさの生チョコをお土産用に二つ購入する事にした。
確か拓も甘党迄はいかなくても甘い物は好きで一花ちゃん家でケーキを買って来ると食べていたからチョコも好きなはず。
拓…これ食べて何時もみたいに戻ってくれないかな。
ショーケースの前でぼんやりとしていると上の方から神谷さんの声が聞こえた。
「…さん、高井さん。」
「はっ、あ、ごめんなさい。」
「大丈夫?人混みで気持ち悪くなってない?」
「大丈夫ですよ。」
我に返る。
「そろそろレジ行ける?」
「もう大体見られたので行けます。」
そして長い列に並び会計を済ませた私達は店を後にし再び車に戻った。
「いや~激混みしてたね。折角高井さん連れて来たからゆっくり見せてあげたいと思っていたんだけどなんかバタバタでごめん。」
眉毛を下げながら申し訳なさそうに言う神谷さん。
「そんな事無いですよ。堪能出来ましたよ。お目当て品も買えましたし。」
袋からチラリと見せる。
「あぁ、そのシリーズね。季節ごとにまた新しい味と包み紙になるからまた見に来る?」
「はい!来たいです。楽しみ。」
「高井さん連れて来て良かった。」
ドリンクホルダーからコーヒーを手にし何だか嬉しそうに口に運んだ神谷さんだった。
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