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「お待たせ致しました。きな粉と抹茶のわらび餅で御座います。」
定員さんが持って来るなり二人共口が半開き状態のまま顔を見合わせてしまった。
驚いたのは神谷さんの方にはきな粉が、私の方には抹茶がこれでもかと言う位にふんだんに掛けられていた。
しかも一人前の量がかなり多い。
想像を絶する山の様なわらび餅を前に私達は興奮が止まらない。
早速写真を何枚も撮り神谷さんと見せ合いっこをした。
私と一緒にはしゃいでいる神谷さんはもはや私の女友達に近い。
どうやら店内で提供される方のわらび餅の情報はそこまで調べてはおらず今初めて目撃したとの事だった。
私は定員さんに小さな小皿を二枚もらって神谷さんと私のを少し分けあった。
そしていざ口に運ぶと腰が抜ける程に柔らかな、続いてあと一歩で水になるんじゃないかと言うとろりとした食感が広がる。
甘さ控え目で何個でも食べられてしまう。
最初からお土産で買う事を決めていたがより強く思う程になっていた。
「高井さん。これ…言葉要らないよね。俺、泣きそう。感動した。」
「こんな水に近いわらび餅初めて食べました。私好きですこの柔らかさ!」
手が止まらず黙々と食べ続け最後の一口を惜しむ様に口に運んだ。
「ご馳走様でした。」
二人は日本茶で締めくくり最後にお土産を買い車に戻った。
荷物を後ろに積みながらまだ感動が続いていた私達は店を出てからも暫くわらび餅の話に花を咲かせていた。
「お土産で前に食べた時とは違った。人によりけりだとは思うけどあの柔らかな食感はたまらなかったな。やっぱり店内で食べて正確だった。あぁ、今日は最っ高。」
晴天を見上げながら神谷さんは嬉しい声をあげていた。
そんな神谷さんを横で見ていた私は自然と笑顔がこぼれた。
車に乗り込み流石にお腹も満たされた私達は道が混まない様に少し早めに帰る事にした。
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