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ふと私に話す一花の表情が変わる。
「あのさ美羽。その…拓って今彼女とか居たりするのかな?…なんて。」
何を話し出すかと思えば少し遠慮がちにそんな事を聞いてきた。
「確か私とは正反対のキラキラした華やかな子が居たかな。」
「そっか…そうだよね。今の拓は昔よりも男っぷり上がって格好良いもんね。まぁ何となく予想はしてはいたんだけど。」
そういう事か。
一花は拓に惹かれている。
「拓とはまだその偶然会った一度きり?」
「うん。そうだよ。拓さ、前よりも話しやすくなってて話も面白かったからまた直ぐにでも会いたいんだよね。私、週末とかちょくちょく帰って来ようかな。」
拓は一花の気持ちに何処まで気付いているのか不安になり探るように質問をしてしまった私だけれどまだ二人は一度しか会っていないと分かりホッとして紅茶を手にし口に含んだ。
弟の恋愛事情を心配し安堵する姉。
でも私の胸はザワザワしてそんな言葉じゃ済まされない。
だってその弟に私は体を触られ唇までも奪われ欲情した。
体の中心から再び熱が放たれていくのを感じる。
そしてあの滑らかな拓の手でもう一度触れて欲しいとそんな風に一日中何度も願う私が自分でも理解出来ない。
早く忘れよう。
でないと仕事にまで支障が出てしまう。
忘れなくちゃいけないんだ。
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