246人が本棚に入れています
本棚に追加
/174ページ
拓は無防備な私の右手を掴み不意に見せた柔らかな表情で私に。
「俺に触って欲しい…美羽の手で。」
触る…その言葉を理解する時間も与えてはくれず躊躇いを隠せないままの私の手を拓は自分の頬に当てる。
そして私の手に頬ずりを繰り返し合間にその手に浴びるほどのキスをする拓の顔はまるで男が情事をしている時の様な表情だった。
足下は行き場を無くし私はもう恥ずかしさから逃れられずただその手に酔いしれる弟を見ていた。
すると頬ずりもキスもピタリと止まり器用な指先が拓のシャツのボタンを腹部の上迄あっという間に開けた。
頬から下に下ろして心臓の前辺りで触れる前に手を止めた。
「俺の方から美羽に触ってばかりで美羽にも触れられたい。美羽からして…。」
そう言うと手を離して拓は私の手の動きを待つ。
けれど心の中の葛藤が私に歯止めをかけようと必死になっている。
拓で頭が一杯の唯一残されている私の姉としての理性が何度も囁く。
これ以上は…これ以上は…。
たまらず私は拓の胸から目を背ける。
────。
「お願い聞いてよ美羽。」
悲しい声でそんな風に言われたら私は拓を放っておけないのを知ってるよね。
拓はきっとそれを知ってて私にお願いしている。
私の弱点が拓だという事を。
だけど、私はやっぱり…。
「美羽…こうするんだよ。」
躊躇う私に拓は間に入れた足をより深く挟ませると背中に手を回して服の上からブラのホックをいとも簡単に外し手を入れて両手で腹部を上へとなぞりながら一つ一つの膨らみを包んだ。
「っふぅっ…拓っ、、」
「温かい?美羽。俺も美羽の体温感じたいんだ。だから…。」
私の胸を包んだ拓の手は安心する程温かく私を大事に扱うように触れた。
少しの抵抗を残しつつも私の中から溢れて止まらないどうしようもない熱に体中が支配されていく。私は拓に目線を戻し引き締まった張りのある胸に手を当てた。
拓の体は私よりも遙かに熱く火照っていた。
最初のコメントを投稿しよう!