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拓の心臓とそして私が触れた手から鼓動と鼓動が激しく共鳴し合う。
人と人がお互いを求めるだけでこんな風になるなんて。
「温かい。美羽の手。」
吸い付く様な拓の少し汗ばんだ熱い肌にもう片方の手も添えると拓は私の胸から手を離して力強く抱きしめた。
耳たぶを前歯で優しく噛み腰に回された手をズボンの下に潜らせていく。
ストレッチ素材のズボンは動く拓の手を開放的にする。
腰から股へそして内股に手が伸びると力が抜けて立っているのがやっとだった。
私の今にも倒れそうな体を拓の胸板がしっかりと受け止める。
理性が何処かへ飛んでいきそうになったその時ガチャリと玄関の方で音がした。
「ただいま…あれ?居ないのか?ポーチの灯りは点いてたのに。」
お父さんの声で私達は急いで身なりを整えると部屋の扉が半分開けっ放しになっているのが目に入った。
「なんだやっぱり帰ってたか。二人して何だ?何かの相談か?」
気ずいた頃には既にお父さんが顔を覗かせていた。
「あっ、う、うん…お帰りお父さん。拓が、拓がね友達からもらったシャツを試着してたから見てあげてたんだ。」
「そうか。うん似合ってるな。明日からでも働けそうだな…ん?ネクタイは…おっとこんな所に落ちてた。この柄もなかなか品があって良いな。はい。」
「あぁ…ありがとう。」
ネクタイを拾い上げ拓に手渡した。
床に放られたネクタイにも気が付かない程私は拓しか見えていなかった─────。
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