episode 5

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「ごめん待たせて。御手洗が一番端っこでさ。」 「全然大丈夫です。椅子があったんで一息ついてました。」 「そ?なら良かった。あのさそろそろ飯食べ行かない?」 「そうですよね。遅くなってすみません。じゃあ遅めのランチ食べましょう。私ご馳走しますから神谷さんの食べたい物選んで下さい。」 「あ、そうだったよね。ありがとう。何にしよっかな~。」 手に持った小さめの紙袋を揺らしながら足取り軽くデパートの外へと出て行った。 街に繰り出すと午前中よりも遙かに賑わっておりあちこちに飲食店の立て看板が飾られていた。 「高井さん中華好き?」 神谷さんがふとあるお店の前で足を止めた。 「中華好きですよ。小籠包大好きです。」 「女子は好きだよね。絶対小籠包って答えるよねこっちが聞くと。よし、じゃあここ入ろ。」 立て看板を見ると蒸籠の種類が選べてスープやライスそれからデザートも付いてきてランチセットが1650円。 しかもライスが大盛り無料と書いてある。 これを見れば男の人なら喜んで入って行くなと思い神谷さんの後ろに続いてお店に入る。 油の香ばしい香りが胃を刺激すると途端にお腹が減って来た。 四人掛けの席に案内されると直ぐにランチメニューを手にして私の方に差し出した。 「俺即決で小籠包セットのライス大盛り。高井さんゆっくり選んで良いよ。」 「私も即決です。小籠包セットでライスは普通盛りで。」 「気つかわなくていいからね。」 「大丈夫です。私は良く居る小籠包女子です。」 あははっと笑って店員さんに注文を通す。 「今日はお父さんの誕生日プレゼント気に入った物が買えて満足です。神谷さんのアドバイスもあったりで割と早く済みました。ありがとうございます。」 「いやいや。大した事してないよ。」 「私だけじゃなくて神谷さんも買い物出来てこちらも良かったです。」 神谷さんの隣に置かれた紙袋を指差す。 「え、あぁ…うん。」 「スーツ位しか買いに来ないって言ってたんで余程気に入った物があったんですね。あっ、あとあの商品券使わせて頂きました。」 「うん…気に入ったのがあったな…。」 含みを持たせる言い方の神谷さんが私は何だか気になってしまった。
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