episode 6

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橋本とかれこれ一時間近く話して冷め切ったカフェラテを最後一口で飲み干す。   外はすっかり日が沈み俺は今日は実家に泊まる事になっているという橋本を家迄送る事にした。 ネット販売に向けての話を橋本の両親にした所一応承諾はしてくれた様だった。 だけれど承諾したからと言っても出来る事出来ない事はある為販売を進めて行くに従い必ずご両親の意見や話を聞くという約束をされたそうだ。 俺も勿論ご両親の意見に耳を傾けつつ進めて行くつもりだった。 「でもネット販売の件ご両親に承諾してもらえて良かったよな。」 二人でそんな話をしながら薄暗い道を歩いている。 「本当だよ。ま、でもそういう返事もらう核心はあったけどね。」 「まぁな。良し。でもこれでやっと行動に移せそうだな。」 「うん。お互い今は就活とかあって先ずはそっちを優先しないとだから焦らず長い目で少しずつ進めて行こう。なんか楽しくなって来た~。」 こちらを振り向き橋本の整った顔が俺に微笑みかける。 「俺も初めての事に不安もあるけど楽しみにしてる。」 「私頼り無いけどよろしくお願いします。」 「気づいたら俺一人でやってたりして。」 「あはは!」 「あはは!」 ───────? ふと視界の端に人影を感じた。 誰かがこちらに視線を向けていた様な気がした。 街灯の少ないこの道は日が落ちるとかなり暗くて女性が一人で歩くのは心細い位だった。 けれど俺は男でもし橋本に危険が迫って来たとしても殴られる可能性だってある訳だし相手だってそんなリスクのある事はしないだろう。 確かに最近綺麗になった橋本が誰かに狙われるなんて事も可能性はゼロでは無い。 「拓どうしたの?そっちに誰か居たの?」 「いや…見られてた様な気がしたんだけど気のせいだった。」 「そ。なら良いんだけど。」 「この辺街灯は一応あるけどもっと遅くなってからは橋本一人で歩かない方が良いな。」 「へぇ。拓私を心配してくれてるんだ。」 「ま、まぁな…一応女の子だしな。いや、真面目な話マジで気を付けろよ。」 「分かった。ありがとう拓。」 ─────────。 私は貴方なんかよりもっとずっと拓を好きなのに。 拓を好きな気持ちは誰にも負けない。 私は拓の温もりだって知ってる。 この髪も頬も胸も手も脚だって全てさらってくれた…柔らかな温かい拓の手が。 羨ましくて仕方が無いって顔。 私は拓を貴方なんかに渡さない─────
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