【 プロローグ:2回目のワクチン接種 】

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【 プロローグ:2回目のワクチン接種 】

「ふふっ、これで私もコロナとはおさらばだ」  2021年8月某日。  某巨大有名高層ビル内での、新型コロナウィルス大規模集団ワクチン接種会場の前で、この長かったコロナとの戦いに終止符を打とうとしていた。  私の住む市では、まだワクチン接種券(ファイザー製)の配布が、高齢者からスタートしているため、若者にはまだまだ順番が回ってきていなかった。  しかし運よく、某大手有名塾に通う塾生であったがために、私たち塾生にも『職域接種枠』が適用されるということで、1回目、そして、本日で『2回目のワクチン接種』を遂に受けることになっていた。  会場内へ入ると、2回目も大勢のOLやサラリーマン風の大人たちで、大盛況だ。ソーシャルディスタンスを保ちつつ、その大人たちの中に混じり、私も2回目のコロナワクチン(モデルナ製)を打つ。  腕を摘ままれ、長めの針で左腕に打たれると、多少の痛みはあったが、これで色々と気が楽になることを考えれば、こんな痛みなど大したことはない。  会場内を出た頃には、太陽の光がこの『コロナウイルスからの闇』を完全に追っ払ってくれたような気がした。  私はビルの隙間から空を見上げながら、胸の前で力強く拳を握った。 「よし! これで私はコロナに打ち勝った!」  そして、その期待に溢れた軽い足取りで、颯爽と塾へと戻って行った。
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