プロローグ

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だけど、あたしは何処かで助けを救いを求めていたんだ。 そんな資格、あたしには必要ないのに。 こんなに苦しくても、痛くても。 あたしは望んじゃいけないんだ。 誰もあたしを必要はしてくれない。 期待なんかしちゃいけないんだ。 この世界から助けてくれる人なんて。 ――――〝俺なら守ってあげる。絶対に〟 ふいに聞こえてきた優しい声。 温かみのある優しい瞳と揺るぎない強い瞳を持つ人。 あなたの、吸い込まれそうな綺麗な瞳に、見惚(みと)れてしまったのは、あたしの弱い部分が見せた幻覚。 これは夢なのか、現実なのか。 それとも、あたしの願望が見せた幻か。 この深い闇の中を、あたしはゆらゆらと揺れながら目を瞑った。
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