☆ 対の存在【あたしとあの娘】

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☆ 対の存在【あたしとあの娘】

「「「おはよー…!! 栞奈(かんな)」」」 電信柱に止まっていた雀が、人々の大声に気づき勢いよく羽を羽ばかせて綺麗な青空に消えていく。 そんな、小さな出来事さえ視界に入れない人々は、相変わらず真ん中の人物を囲んで、キャピキャピと楽しそうだ。 あの場所だけ、選ばれたかのような太陽の光が降り注いでいる。 あの〝輪の中にいる彼女〟を通りすがりの生徒達は必ず足を止めて振り返る。 彼女の姿を見た人々は、キラキラと瞳を輝かせたり、頬を赤く染めて嬉しそうに歩いていくんだ。 栗茶色のふわふわ軽いウェーブは肩までの長さ。 雪みたいな色白な肌に、桜色のぷるりんとした唇。 長い睫毛にくるくるとした可愛い目。 モデル顔負けのスタイル抜群。 彼女が笑うだけで〝癒し〟になるそうだ。
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