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〝優しいお姉ちゃん〟を演じる栞奈は、きっと今は優越感に浸っているだろう。
ちゃんと見ればわかるのにね。
だって、栞奈の肩が小刻みに揺れているもん。
心の中で大きく溜め息を吐き出して。
「栞奈、あたしは平気だよ。だから、ね? 」
なにが、だからなのかわからないけれど、自分が出した言葉にさえ苦笑いをする。
けれど、栞奈眩しい笑顔であたしを見た。
「ありがとうー! やっぱり、海鈴大好き。」
にこっと可愛らしく微笑み、その笑顔を友人であろう女の子にも向けた。
「海鈴が許してくれるんだって。だけど、あんな事を言ったら駄目だよ? ね、まひる。」
栞奈が、うるうると瞳を潤ませて女の子を見つめれば、
「うーーー。ごめんなさい!! 」
すがるようにぎゅっと栞奈を抱き締めた。
何故か、周りからはパチパチパチと拍手が起こり、良かった、良かったと涙ぐむ女の子までいる。
………… 何、これ。
あたしに暴言を吐いたのに、まるで栞奈に暴言を吐いたみたいに摩り替えられている。
そして、栞奈は抱き締めている女の子の頭を優しく撫でていて、大丈夫だよと言っていた。
何故か、周りからはパチパチパチと拍手が起こり、良かった、良かったと涙ぐむ女の子までいる。
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