☆ 対の存在【あたしとあの娘】

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〝優しいお姉ちゃん〟を演じる栞奈は、きっと今は優越感に浸っているだろう。 ちゃんと見ればわかるのにね。 だって、栞奈の肩が小刻みに揺れているもん。 心の中で大きく溜め息を吐き出して。 「栞奈、あたしは平気だよ。だから、ね? 」 なにが、だからなのかわからないけれど、自分が出した言葉にさえ苦笑いをする。 けれど、栞奈眩しい笑顔であたしを見た。 「ありがとうー! やっぱり、海鈴大好き。」 にこっと可愛らしく微笑み、その笑顔を友人であろう女の子にも向けた。 「海鈴が許してくれるんだって。だけど、あんな事を言ったら駄目だよ? ね、まひる。」 栞奈が、うるうると瞳を潤ませて女の子を見つめれば、 「うーーー。ごめんなさい!! 」 すがるようにぎゅっと栞奈を抱き締めた。 何故か、周りからはパチパチパチと拍手が起こり、良かった、良かったと涙ぐむ女の子までいる。 ………… 何、これ。 あたしに暴言を吐いたのに、まるで栞奈に暴言を吐いたみたいに摩り替えられている。 そして、栞奈は抱き締めている女の子の頭を優しく撫でていて、大丈夫だよと言っていた。 何故か、周りからはパチパチパチと拍手が起こり、良かった、良かったと涙ぐむ女の子までいる。
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