エピローグ

7/7
前へ
/604ページ
次へ
怯える表情をする伊藤さんに。 「改めて初めまして、驚かせてごめんなさい。俺は君の付き添いになるんだ。これから宜しくね?」 にこっととびっきりの笑顔を見せる。 「…………付き添いですか?えっと、あの。」 「同じ年ですよね、と言いたいんですよね。」 そう言うと無表情に頷く。 「俺、四月から社会人になるんですよ。だから心配はしないでください!」 「……………は?」 「え?」 俺の発言を聞いた櫂さんと紅葉さんは唖然としている。 そんな中、クスクスクスと鈴の鳴る可愛い笑い声が聞こえてきた。 「面白い方ですね。」 にっこりと笑った伊藤さんに、櫂さんと紅葉さんは顔を見合わせた。 いきなり櫂さんは俺の手首を掴み、伊藤さんから離れるように連れて行かれる。 「な、何をするんですか、櫂さん!」 「今まで初対面の人間に笑った事が無かったのが、初めて笑った。もしかしたら、どこかできっとお前を思い出す。伊藤さんは前に諦めるのかって聞いたら躊躇っていたんだ。だから、絶対に好きなはず!頑張れよ隆哉。住み込みは決定だ。」 焦る俺の声を聞いた櫂さんは、足を止める。 そしてどや顔をしながら発言をする櫂さんに、俺は唖然となりながらも不敵な笑みを浮かべた。 「ありがとうございます、櫂さん。任せてください!」 ああ、絶対に伊藤さんの記憶を取り戻させてみせる。 その時は告白をまたしようと思う。 本当に初めて守りたいって思えたんだ。 いつか、きっとまた笑ってくれよ。 そのためなら俺は君の側にいつでもいる。 これからは幸せになろう、伊藤さん。 恥ずかしいからみんなの前では言えないけど。 愛している、どんな時も俺は絶対に守ってみせる。 いつか、またみんなで馬鹿やりながら笑おうな。 〈隆哉side終わり。〉 「完。」
/604ページ

最初のコメントを投稿しよう!

192人が本棚に入れています
本棚に追加