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プロローグ
いつだって比べられてきた。
明るくて元気が良く可愛い彼女とあたし。
彼女の周りには常に人がいて、視線も全部彼女に向けられている。
誰もあたしを見ない。
何故なら、あたしにはついて回る噂があるからだ。
――あの娘は〝彼女の身代わりの人形で、汚いのよ。
――もう何人とも関係を持っているんだから、近寄らない方がいいよ〟と誰もが口をそろえて言うの。
それを聞く大抵の人は、あたしから離れていく。
けれど、興味本意で近づく人もいる。
それは身体の関係を持ちたいだけだ。
そんな人達とは関わりを持ちたくないから、あたしから断っている。
だから、あたしはいまだに処女だ。
――何偉そうにしているんだぁ?、おとなしくて地味なくせに、お金さえ貰えれれば、お前なんて誰でも寝るんだろ?援交女。金持ちじゃないとイケないのかよ。
――キャハハハハッ。彼女と全然違うじゃん尻軽女。
―――コイツ双子なんだよな。もう一人の彼女は超可愛くて清楚なのに、同じ血が流れているなんて思いたくないんだよ。
なんて言葉を笑われながら、何年も言われ続けられてきた。
だから、あたしはいつの間にか人と距離を置くようになったんだ。
だれも信じない。
そうずっと生きてきた。
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