執事でも、男に変わりはありません。

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ーー夜7時  わたし達3人は専属運転手の車に乗り込んで、会場である高級ホテルへとやってきた。 「燈冴くん、を」 「はい、こちらです」  正門に車を横付けすると中へ入る前、父は助手席に座る燈冴くんからアタッシュケースを受け取った。 「これは?」 「今日のメインだ」  いかにも高級なモノが入っていそうなそのケースを父が慎重な手つきで開けると、ホテルのライトに照らされたのは眩い光に輝くダイヤモンドのネックレス。 「ネックレスは24。リングは15カラットだ。決して落とすなよ」 「すご……」  今までもいろんなジュエリーを見てきたけれど“億”にもなる高価なモノを着けて魅せるのは初めて。だからあまりの迫力で圧倒されてしまった。  そんなわたしを父が気にする様子は全くなく、白い手袋をしながら『後ろを向け』と指示するから、大人しく言う事を聞くしかなくなる。  中心に大きなダイヤモンドを施したネックレス。それだけじゃなくてチェーン部分からアジャスターまで、数種類の大きさのダイヤで埋め尽くされている。  実際に身につけてみると首にはずっしりとくるジュエリーの重みと、全身にはプレッシャーという重圧で息が詰まりそう。  正直、着け心地なんてサイアク。
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