執事でも、男に変わりはありません。

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 父に連れられて偉い方々への挨拶まわりで笑顔も引き攣るし。  結婚式の花嫁さんってこんな感じなのかな。 ……そういえば燈冴くんはどこに行ったんだろ?  辺りを見回すと、マダム達に囲まれている彼を発見。 わぁーお。あいかわらず人気者。 『飲み物を貰ってきます』  そう父に許可を取り、わたしは気付かれないように燈冴くんに集まるマダムグループに近寄ってみる事に。 「真白さま、いつ見ても素敵なお顔立ち。(わたくし)どものコンシェルジュに頂きたいわ」 「立ち振る舞いも紳士ですし、 ぜひ(わたくし)の娘の許嫁に如何でしょう?」 「いえ、(わたくし)の娘に」  次から次へと勧誘…どころか逆ナンに遭っている燈冴くん。  爽やかな笑顔で1人1人の話をきちんと聞いているせいか、女性達は口々『私の』『私の』と推してくる。  毎回パーティーの席はこんな感じだけど、まさかここに来るマダム達の目的って…燈冴くんなんじゃ――― 「皆様、ありがとうございます。 そう言って頂けてとても嬉しく思います」  一通りの褒め殺しの言葉を聞き終えた燈冴くんは、丁寧に頭を下げてお礼を伝えている。  彼自身もまんざらでもなさそうで、わたしとしてはちょっと複雑。  まさか他の人の執事になるんじゃないかって不安だもの。そう考えたら、ついカクテルに手が伸びてしまう。
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