執事でも、男に変わりはありません。

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 薄いピンク色の透明感あるカクテルを口にしていると『ですが…』と燈冴くんの否定の声が耳に入ってきた―――― 「すみません。皆様のお気持ちは有難いのですが、私が慕っているのは緋奈星さま、ただ1人。 ですので他の方に御使いするつもりはありません」  迷いなどまったく感じられないハッキリとした口調で拒否するから、わたしは驚いて思わず彼に視線を向けてしまった。  すると燈冴くんもこちらを見てニコリと笑顔を向けてくる。 あー……もしかしてわたしが話を聞いていた事に既に気が付いていたんだ…  思い掛けない返答にマダム達は若干ガッカリしたように肩を落として離れていき、同時に燈冴くんはゆっくりとこちらへ歩いてきた。 「燈冴くん、わたしが近くにいる事に気付いていたんだね」 「当たり前ですよ。 そのお姿は目立ちますから」  それもそうだ。ドレスは至ってシンプルだけど、このゴージャスすぎるジュエリーの存在感は強すぎる。  バレないわけがないよね。 「それにしても今日もモテモテね。羨ましいくらいだよ」 「そうでしょうか。私は一切興味がありませんので、誘われた所で正直困るだけですよ」  笑顔で冷たく突き放すんだもん。  こういう言い方をする時の燈冴くんは、ちょっとビターなブラック王子って感じ。
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