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出来れば普通に起こしてもらいたい。
もう何度もそう言っているのに彼曰く『何度起こしても起きないのであれば、強行突破しかありません』だそう。
「それに何より、こうした方が緋奈星さま、すぐ起きるでしょ?」
わたしじゃなくたって男からこんな事されたら起きるでしょ。それどころか本来なら殴られるよ。
「もうわかったから退いてよ。 傍から見たら寝込み襲っているだけにしか見えないからね」
「俺はそれでも構わないですよ?」
「わたしは嫌です」
『それは残念…』と彼は心底ガッカリした様子で
肩を落としながら、ようやくわたしの上から離れてくれた。
「改めて。おはようございます、緋奈星さま」
まるで何事もなかったかのように執事らしく丁寧に爽やかな笑顔を向けるこの人とは、なんだかんだ言いながらも、もう8年の仲。
私、【漣 緋奈星】
5月5日、こどもの日が誕生日の21歳。そう、まさかの社会人。
燈冴くんがわたしの執事になった経緯は
色々と複雑な事情もあったりなかったりで……まぁザックリ言えば日本有するハイジュエリーブランド”Ripple Crown”の代表取締役社長兼CEOであるわたしの父親の秘書をしながら、執事も兼任している凄い人。
住み込みで働いているから完全に家族みたいな関係。
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