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「待ってッ!」
動くのも辛そうなのに無視出来なくて、気怠い体に鞭打ってソファから立ちあがろうとする彼に近寄って、つい手を出して立ちはだかった。
「緋奈星さん……?」
わたしの行動に鮎沢さんは目を大きく開けて驚いて固まっているけど、そんなの気にせず燈冴くんの方を振り返って声を張った。
「燈冴くんお願い! 今は追い出さないで欲しいのッ」
「緋奈星さま……?」
「お願い……」
きっと理由は説明しないと納得なんて出来ないと思うけど、今は鮎沢さんの身体の方を優先したい。
「……わかりました。では今回だけは緋奈星さまに免じて見逃しますよ。バスルームを案内します」
嫌そうな表情はするものの、わたしのワガママに半分呆れながら諦めた燈冴くんは鮎沢さんに『ついて来てください』とだけ伝え、彼が立ちあがるのを冷ややかな目で見ている。
あくまで手は出さないつもりだ……
「緋奈星さまもすぐに2階のシャワールームへ。そのままでは風邪をひいてしまいます」
「あ、うん……」
これは相当怒ってる……言い方1つに棘を感じる。
怒られて当然なんだけど……怖い――――
先にシャワーを終えたわたしがリビングに戻ると燈冴くんはキッチンで何かを作っていて、鮎沢さんはまだ入浴中らしく姿が見えない。
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