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いないうちに燈冴くんにはこの状況を説明しないと。じゃなきゃ本人が戻ってきてからだと話が拗れるだろうし収拾がつかなくなる。
「あの、さ……燈冴くん……」
なんとなく声を掛けづらくて恐る恐るキッチンに足を踏み入れると、彼はマグカップを手にしながらわたしに訊ねてきた。
「ハーブティーでもいかがですか?」
「え……うん……」
さっきまでの怒った表情はなくその言葉に棘も感じない。少し離れている間にクールダウンしたのかも。
ダイニングルームのいつもの席に腰掛け、淹れてくれたカモミールのハーブティーを飲みながら何から話そうかな……って考えていると、先に口を開いたのは燈冴くんの方。
「先程は申し訳ございませんでした。つい感情的になりすぎました」
背筋を伸ばして深々と頭を下げるその姿勢は”恋人”ではなく執事。
そしてきっと、さっきの怒った姿は”執事”ではなく恋人としてに思える。
「わたしこそごめんなさい。あの人を家の中にあげた理由もちゃんと説明しなくて……」
マグカップから手を離し、わたしも畏まって頭を下げた。
「鮎沢さん……自分のお父さんを説得してたって言ってたの。買収を止めたいって。だけど止められなくて……それでわたしの所に謝りに来たんです」
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