会社の危機と彼の想い。

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 そこまで話すと燈冴くんは少し目を細め『そうですか…』と言うだけで、口を挟む事なく静かに聞いていた。 「鮎沢さんの事はよく知らないし、燈冴くんの言うように危ない人だとも思った。だから関わりたくないって……だけど……ここまでする人なんだって、それも初めて知った一面で……」  何をどう言ったらいいかわからなくて上手くまとまってないまま言葉にしている。それを燈冴くんは黙って聞いているだけ。 「悪い人……ではないと思う。彼なりに何とかしようとしてるから……だから助けたの。それに雨で体も凄く冷えていて心配だったしッ」  理解して貰えるよう出来る限りの精一杯で、燈冴くんに鮎沢さんの“良”の部分を伝えると彼は最後まで聞いた上で、また1つ溜め息を吐いた。 「事情はわかりました。緋奈星さまのあの方を信じたいお気持ちも」   「じゃ、じゃぁッ」 「ですが。だからと言って誰もいない家に男を連れ込んで良い理由にはなりません」 「そ、それは……」  表情はずっと変わらず、なのにピシャリと言い切られてやっぱり怒ってるんだっていうのが伝わってくる。 「例え彼が悪い方ではないとしても、緋奈星さまの身に危険がある事には変わりないんです。何かされるかもしれない。その危険性と警戒心は忘れてはいけません」
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