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10年前に燈冴くんが執事としてこの屋敷に来たのは確か20歳頃だった。
当時のわたしはまだ12歳の中学生。
反抗期真っ只中で結構荒れていたっけ。
父は若い頃に自身のジュエリーブランドを立ち上げ、だからか海外にも進出していて、それこそかなりの金持ちで。
まわりとの育ってきた環境や価値観の違いに心が追いつかなくて家族や友達と衝突ばかり。
もともと気が強かったわたしは良く言えば素直、悪く言えばワガママ。
そんなわたしに振り回されながらも、よく今日まで耐えてきたなと思うほど忍耐強い燈冴くん。
中学を卒業してすぐ母が不慮の事故で亡くなってしまい、そこからわたし自身も『成長しないといけない』って子供ながらに目が覚めて気付かされた。
幼い頃から当たり前のように見てきたジュエリーに、自然と”父と同じ仕事に就きたい”と高校に通いながら1から勉強し、卒業後は父の会社に入り、今に至る。
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