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「お嬢様、よくお似合いです! とてもお美しいです!」
「本当ッ! すごく綺麗ですよ!」
両手を組んでウットリしながら褒め殺すお手伝いさんには申し訳ないけれど、鏡に映る自分を見ながら溜め息が溢れた。
「動きづらい……」
普段の格好でスカートなんてほとんど履かないし、だいたいがパンツスタイルなだけに畏まったドレスは、もはや拷問。
それもよりによって今日の気合の入り方は尋常じゃない。ドレスアップ前には“体のケア”と称して、エステまで受けさせられたんだから。
「準備はいかがです?」
なんだかんだで1時間ほど経過した頃、わたしの様子を見に燈冴くんが戻ってきた。
「ちょうど今終わったところだよ。もうすでに疲れたけど」
鏡越しに映る燈冴くんに話し掛けながらドレスを気にしつつ椅子から立ち上がると、彼の方へと向きを変えた。
するとわたしを見るなり、目を見開く燈冴くん。
何を驚いているのか知らないけれど思考回路がストップしているみたいで、フリーズし瞬き1つしない。
「何……どうしたの?」
大丈夫かって尋ねると、我に返ったらしく、いつも通り和らいだ表情でニコリと笑顔を向け『随分と化けましたね』なんて嫌味を返してくれた。
化けたってなかなかの言い草だけど、本当の事だけに言い返せない…。
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