前話 あるパン屋の日常

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 開店ラッシュを終えた私は疑問が浮かぶ、どうして業務用マジックポケットリングから、毎日取り出して渡すのだろう。明らかに商売の滞りだ。 「親方ー」  親方の居る作成パン部屋は小麦の香りでスゴい。焼きたてパンの香りが充満する。思わず食欲を抑える。 「どうした? ミミ」 「あのですね、毎日、毎日、業務用のマジックポケットリングから取り出すんですが」 「リデロに聞いてこい、とにかく手が離せない。パンは生きてるからな」  パンは生きてる? ナゾが2つになっちゃった、2階のリデロ奥さんに聞きに行く、そして疑問をぶつける。奥さんは。 「業務用マジックポケットリングから、毎日出すのは、焼きたての新鮮なパンを提供するためよ。ショーケースに並べたパンは時間が経って劣化するの、私達の食料になる。廃棄するのは勿体ないからよ」 「そうでしたか、ありがとうございます。もう1つ、パンは生きてるって本当ですか?」 「ん? 誰からそんな事を聞いたのかしら」  私は先走る気持ちを抑えて。 「親方です」 「私はパンを作らないから、わからないわ、モーカスは午前の作業中に、話しかけないでね」 「はい、ありがとうございます」
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