中話 大量生産品

2/4
前へ
/13ページ
次へ
 私は走って親方の所へ向かった。ドアをノックする。 「あら、ミミちゃん、どうしたの?」  リデロさんが出る。 「あの、変なコップから、食べ物が一杯出たんですけど、何か分かりますか?」 「ああ、それは多分、導成士ね。変なコップみたいなの、持ってたんでしょ?」 「はい、あんな物があったら、食べ放題じゃないですか!!」 「導成釜は、小ズルいわよね」 「何だ、どうしたんだミミ。遠慮なく入りなさい」 「はい」  そして、親方も混じえて、コップみたいな釜の導成士の話で盛り上がる。親方は。 「私もかつて自動導成機と言う、便利な機械がホイホイ物を作ってくれた、そうパンを量産してたんだ。その当時はホイホイ売れるパンにほくそ笑んだ。お金はたっぷり入ってあぶく銭の様に使ってた。問題はそこじゃない」  私は親方のパン量産計画を 「そこじゃないって、ホイホイパンを作ってくれるなら、楽じゃないですか」  親方は懐かしそうに。 「ああ、楽だったとも。大量生産は悪いことじゃないが、今の私にとっては昨日より美味しい、今日のパンとやってく内に、ゴミの大量生産に思えてね。止めてしまったのだ。そもそも導成士は、あらゆる物を1からコツコツ組み立てて行く、作った作品は幾らでも複製出来る」  それって良いことなんじゃ……。
/13ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加