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私は走って親方の所へ向かった。ドアをノックする。
「あら、ミミちゃん、どうしたの?」
リデロさんが出る。
「あの、変なコップから、食べ物が一杯出たんですけど、何か分かりますか?」
「ああ、それは多分、導成士ね。変なコップみたいなの、持ってたんでしょ?」
「はい、あんな物があったら、食べ放題じゃないですか!!」
「導成釜は、小ズルいわよね」
「何だ、どうしたんだミミ。遠慮なく入りなさい」
「はい」
そして、親方も混じえて、コップみたいな釜の導成士の話で盛り上がる。親方は。
「私もかつて自動導成機と言う、便利な機械がホイホイ物を作ってくれた、そうパンを量産してたんだ。その当時はホイホイ売れるパンにほくそ笑んだ。お金はたっぷり入ってあぶく銭の様に使ってた。問題はそこじゃない」
私は親方のパン量産計画を
「そこじゃないって、ホイホイパンを作ってくれるなら、楽じゃないですか」
親方は懐かしそうに。
「ああ、楽だったとも。大量生産は悪いことじゃないが、今の私にとっては昨日より美味しい、今日のパンとやってく内に、ゴミの大量生産に思えてね。止めてしまったのだ。そもそも導成士は、あらゆる物を1からコツコツ組み立てて行く、作った作品は幾らでも複製出来る」
それって良いことなんじゃ……。
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