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透き通った水が日の下を潜り、川下へと穏やかに身を運ぶ。
人通りのない河川敷で、二人の男子中学生が向かい合い、
猛き感情の拳を振るっていた。
「ふざけんな!」
左頬に喰らった一発を大和が掠れた血で拭う。
「はぁ? 殴るのは違うだろ!」
彼は痛みの伝った掌を握り締め、藤侍の下腹部へ報復した。
視野に顕れない傷が感覚以上に互いの心身を削る。
蹲った藤侍を見下ろす大和の目は甚く冷淡で、
もはや友達と見なしてはいなかった。
「……もういい。絶交だ!」
藤侍も人一倍強い負けん気で、硬い態度に終始する。
「それはこっちの台詞だよ」
ふんと鼻を鳴らし、青々とした草を踏み荒らす大和。
彼の姿が遥か彼方に失われるまで、藤侍はその背中を躍起になって睨み続けた。
時を同じくして、藤侍の胸の内では、もう一つの熾烈な争いが幕を開けていた。
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