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愛の在処
父親の正妻に男児が生まれてどれだけ経っただろう。あの子もだいぶ大きくなって、愛人の子供である私はそろそろ用済みだ。
母を亡くし、この家に来てからずっと、誰からも愛されないまま過ごしていた。このまま用済みになって、これから私の人生にはなにが待ち構えているのだろう。
不安に思う日々の中、私は追いやられるように修道院へと入れられた。そこで私を待っていたものは、あたたかい人々だった。
この人達は父親から受けることのできなかった愛情を私に注いでくれる。当たり前のように慈しんでくれる。
自ら望んだ道ではなかったけれども、今はこの修道院での慎ましいけれどもすばらしい日々を気に入っている。
私はいらない子じゃないんだ。
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