私を待ち受けていたのは……

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 私は今日、その始末書を書いていた。誰もいない会社で一人。唯一会話をした相手はビルに入った際に挨拶した警備員室の警備員だけ。  私が、慌ててエレベーターホールの前まで行くと、エレベーター2基のどちらも1階に止まっている。  矢印が下を向いている方のボタンを押して呼び出す。  ここは15階だから、大分時間がかかる。まあ、かかるとは言っても誰も使っていなければ数十秒の内に上がって来る……そう思っていた、だけど、待てど、待てどエレベーターは上がって来ない。  おかしい……  もしかしたら、故障?  もう21時05分を過ぎている、私は慌てて非常階段の扉を開け、階段を下り始めた。  すると、"トン、トン、トン"下の階段から音が聞こえてきた。  エレベーターを待ちくたびれた人が他にもいたようだ。  21時を過ぎると、このビルに入っている他の会社の人達も慌ててエントランスに向かうのだろう。  "トン、トン、トン"  音は何故か徐々に大きくなる。  おかしい。  私と同じく階段を下りているなら、音の大きさは変わらないはず、又は小さくなっているはずなのに、音は大きくなっている。  近づいて来る。
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