突然フラれる!

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突然フラれる!

「別れようよ、俺たち」 いつものカフェでデートの最中に 突然光太郎に言われた。 「え…?どうして…??」 「…恥ずかしいんだよ」 「恥ずかしい?何が?」 「おまえみたいなダサい女が彼女なのがさ」 「は?」 何を言ってるんだろう、この男は。 「俺クラスの男の相手じゃないっしょ?おまえ」 光太郎は長めの前髪をくるくると指で 弄び(もてあそ)ながらそう言った。 かつてはあたしの好きだったその仕草が 今は妙にカッコ悪く見えた。 「…他に女が出来たの?」 「そこは感がいいのな、おまえ。他は鈍いのに」 いちいちムカつく言い方をする こいつのどこが好きだったんだろう? 「そ。メグミと付き合うことにしたからさ」 ああ…顔は可愛いけどお股はゆる〜いあの女か。 でも確かあの子は…? 「あの子、彼氏がいるじゃない」 「あっちも別れるんだよ、彼氏と」 光太郎はふふんと鼻を鳴らす。 鼻毛…出てるけど教えてやんない。 「別れるなら貸したお金返してからにしてよね」 「は?そんなの俺と付き合ってもらった 代償にもなんねえ、はした金じゃん」 光太郎は薄笑いを浮かべたまま立ち上がると 「じゃあな、ブス。もうつきまとうなよ」 とカフェを出て行った。 なんだ、そりゃ…。 てめえに貸した金、50万だぞ、ボケ。 そんな価値もない腐れ(くさ)外道(げどう)が。 あたしは、はあ…っとため息をつきながら 立ち上がった。 「あの手は使いたくなかったんだけどなあ…」 でも仕方ない、か。 あたし、怒ってるんで、マジで。
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