1人が本棚に入れています
本棚に追加
高なる気分
病院混んでる!駐車場からだいぶ歩かないと、だな。
片足けんけんは外ではとても不安定で、それでも何とか受付にたどり着いた。
階段から落ちた、と言うと、車椅子にのせてくれた。
診察・レントゲンと進み、レントゲン室では車椅子にすわったまま
「顎を少しあげて、頭をゆっくり後ろへ……」
気が付くと、私はベッドに寝かされていた。
「貧血だね。顔もぶつけたようだし。もう大丈夫だね」
「私、気を失ってたんですか?」
看護師さんが心配そうに見ていた。
そうなんだ。気を失うって。私……
笑ってしまった。可笑しくて、楽しくて。
私、そんな体験しちゃったんだ!って思ってしまった。
再び診察。いよいよレントゲンの結果だ。
「折れてるね」
左足の踵に、しっかりはっきり、亀裂が入っている。
ギブスは思ったより簡単だった。
バケツに足を入れて、液体に浸けた包帯を足に巻いていく。
固まったら完成。石膏で型取りとか、ないんだ。
帰りは松葉杖を借りて、片足けんけんを卒業した。
病院の端っこの方の、人気のないところで、使い方をレクチャーされたから、早々に使いこなせている。
先生が待ってる病院へいこう。車でいいよね。
30分かかるから、タクシーはやっぱり使いたくない。
ギブスでサイズアップした左足を、やっと狭い運転席に押し込め、なんともない右足で、普通にアクセルを踏んだ。
ズキズキと痛むのは、下敷きになった左足と、顔の左側だけだった。
最初のコメントを投稿しよう!