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これが噂の「お迎え」ですか?
痛い、助けてくれ、痛い、頼むから痛み止めを、いや、いっそ殺してくれ。それ以外の言葉が浮かばなかった。
余りの痛みに時間の概念もなく、どれくらい前に事故られたのかも分からない。ただひたすら痛いだけ。分かっているのは、今はどこかの病室に寝かされている事と、その理由として、原チャリで交差点を直進していた俺に、急に右折してきた高級車が体当たりしてきたこと、それだけだ。痛みで思考が回っていないが、これであってるはず。
もう限界。この痛みに耐える位なら死んだ方が…
そう思った刹那、急に痛みが消えた。なんだか体もめちゃくちゃ軽いような気がする。
…って、ええっ!?
か、体が宙に浮いている。いや、でも俺の体は眼前に血まみれで横たわっている。って、あれ、なんで俺が俺を見てるんだ?
そうか、これがあの幽体離脱というやつなのか。
「違うぞ」
「わあっ!?」
背後から急に声を掛けられ、全身の毛が逆立つのを感じた。目の前の俺の体も、心なしかブルっと震えたような気がする。
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