第五章・チャラ神様御一行を、無限ループ地獄がおもてなし!

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  「解った。約束する! ボクが必ず、田長さんに伝えるよ!」  どうやら話がまとまったらしい。じぞーちゃんがにこっと笑うと、ありがとう、と柔らかい声がした。お稲荷様を見ると、笑っていらっしゃるように見えた。 「神奈―」  じぞーちゃんがたたっ、と小走りで戻って来た。 「あのねー、狐君たち、人間に怒っていたんだって!」 「怒っていた? どうして?」 「だってねー、回廊に来ても写真撮るだけでお賽銭だけじゃなくて、きちんとご挨拶すら無いし、それどころか勝手に荒らすし、ひどいヤツなんて狐君の上に乗ったりラクガキしたり、最近特にやりたい放題なんだって。昔みたいに油揚げもお供えして貰えないし、不満がいっーぱいやねん!」 「そっか・・・・お稲荷様に手を合わせる人が減ってしまったものね」 「沢山人間が来てくれるのは嬉しいけれど、もう少し節度を持って欲しいって。だからボク、狐君と約束したんよ。ここに来て撮影してもいいから、その代わりちゃんとお参りして貰うように人間にお願いする事と、田長さんの作った油揚げをまたお供えして欲しいって」 「じぞーちゃんのお陰で、お稲荷様のお礼の声が聞こえたわ。ありがとう。これから、私達人間が、きちんと伝統や古(いにしえ)のものを大切にする気持ちを、少しでいいから忘れずに持てるよう、気を付けるわ」 「うん! 神奈、ありがとう」  じぞーちゃんが笑ってくれた。
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