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「こんにちは」
暗闇の中でよく知る声が聞こえた
「誰」
声の主は私だった
私とは別人のような私だった
「パラレルワールドって、あるでしょう」
答えになってない
「睨まないでよ、私はあなた。でもね、あなたと違って両親は離婚してないんだ。とっても仲良しなの。恥ずかしくなるくらいね」
呆れたように言う私
「4人暮らしでね、家は賑やかで、ムカつくこともあるけど、楽しく暮らしてるんだ」
でも幸せそうに言う私
「羨ましい? 」
私の顔を覗き込んで言う私
「いいえ、全く」
「どうして? 寂しくないの? 」
「まさか」
「滅多に家族に会えないんでしょう? 」
「それが普通になったらちっとも寂しくない」
「……かわいそうに」
何しに来たんだ
「女2人で綺麗なマンションに二人暮らしもなかなかいいものだよ」
「それがわからないなんてかわいそうに」
私は笑う
「そうかもね。でも、絶対あなたの方がかわいそうだって、皆言うよ」
「帰って」
「ええ、さようなら」
私が消えた
「さようなら」
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