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戻りたい、戻れない
いつからか、僕はジョンとマゼンタに
追いつけるように必死になっていた。
二人みたいに格好良くなりたくて
より自分が格好良く見えるように
今まで以上に気を使うようになった。
二人とは仕事終わり一緒に飲みにいったり、
仕事の相談を聞いてもらったりした。
二人との距離を縮めようと必死だった。
だけど、それでもまだまだ二人と僕の間には
長い長い道のりがあって、それが縮まることも
無いまま、僕の人生は低迷していく事になる。
好きなキャラランキングで二位まで上り詰めた
僕だったけれど、半年後のランキングでは
10位まで下がっていた。
僕の人気は長くは続かなかった。
僕は俗に言う、一発屋だった。
爆発的なスピードで人気者になったけど
飽きられるのも早かった。
そして何よりまた新しい人気者が出てきて
世の中はそいつ一色に染まった。
そう、それは紛れもない、僕を可愛いと
はじめに言ったインフルエンサーが
次に可愛いと呟いたキャラだった。
だけど僕はそれを認められなかった。
自分は変わったのだと思い込んでいた。
地味で名前も知られないモブ中のモブから、
ジョン達のように世界のみんなから
愛されるキャラクターになれたと思っていたんだ。
必死にもがき、まだやれる、と
自分にも周りにも言い聞かせたが
状況は何も変わらない。
いつしかジョンとマゼンタの隣には
新しい人気者がいて、世間のみんなも
みんなそいつのグッズを持っていて
僕はまるで幻みたいにあの輝かしい世界から
僕の存在は何一つ残らず消えた。
つい最近まで僕にへこへこしていた
スタッフも監督もみんな蔑んだ目で僕を見る。
苦しかった。
僕はやれることならなんでもやった。
それでも、努力は一ミリも実らなかった。
なんて悲しい世界なんだ。
こんな思いをするならスターになんか
ならなくて良かった。
りすぴこと二人で世間話してるあのときが
一番幸せだったよ…。
とうとう僕の仕事は全て無くなった。
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