エピローグ

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エピローグ

皆が知っている桃太郎、この物語には続きがあった 鬼ヶ島の鬼退治に成功した桃太郎、そんな彼の元にある日、1人の少女が現れる。親も故郷も無くした少女と暮らす事になった桃太郎、2人は仲睦まじく暮らすようになっていった だがある日少女は突然自殺した 少女は鬼ヶ島の鬼の生き残りだった。復讐のために近づいた桃太郎をいつしか愛してしまい、愛と憎悪に揺れ動き、苦しみ、自殺したのだった… 少女の亡き骸を見て、桃太郎は初めて自分の犯した罪に気づいた。そして自らも少女の跡を追うように… ひどく悲しんだおじいさんとおばあさん おばあさんは神に願った。生まれ変わっても桃太郎の母になりたいと… 来世でもおじいさんと出会い、結婚して、桃太郎を産んだおばあさん。幸せな時間だった 鬼ヶ島の鬼の少女、その生まれ変わりが現れるまでは… 最初は交通事故だった… 悲しむおばあさんの姿を見て、おじいさんは神に願った 時間を巻き戻す力が欲しいと… そこから地獄が始まった…… 溺死、焼死、圧死、病死、転落死、事故死…… 何回時間を巻き戻しても、どんな方法を使っても、桃太郎の生まれ変わりの息子と鬼ヶ島の少女の生まれ変わりは出会い、恋に落ち、必ず死んでしまう おじいさんとおばあさんは愛する息子の、ありとあらゆる死に方を何十回、何百回と見た おそらく、桃太郎だった頃の因果が、現在の息子にも影響を及ぼしている。そう考えたおじいさんとおばあさんは、ある決意をする…… 前世まで時間を巻き戻す…… 「ふー、これでめでたし、めでたし、かな?」 「長かったわね。お疲れ様」 時は現在、桃太郎達を見つめる1組の夫婦がいた 「途中でワシと似たような能力を持ったヤツが割り込んで来た時はもうダメかと思ったわ」 「フランケンシュタインの怪物のプロトタイプとかいうのでしょ。まぁウチの桃ちゃんなら大丈夫だと信じていたわ」 「なぁ、ばあさんや、その時のハーレムエンド……あのままじゃダメだったかのぉ」 「駄目に決まっているでしょう‼︎桃ちゃんの活躍は現在では絵本になって、小さい子供が読むのよ‼︎複数の女性と結ばれるなんて教育によく無いわ‼︎」 「ワシぁ、ハーレム…良いと思うんじゃが…」 「おじいさん……もしかして‼︎」 「いや、ワシはばあさん一筋じゃ。前世でも、現在でも、来世でも」 「あら、やだ、おじいさんったら」 「まぁ、あのフランケンシュタインの怪物のプロトタイプが割り込んで良い化学反応でも起きたのか、その次の世界は驚く程上手くいったの…」 「何度巻き戻しても、桃ちゃんと鬼ヶ島の鬼の殺し合いは止められなかったものね。何回やり直した事か……」 「だが今回で、誰も傷つかない……」 「優しい物語になれたわ…桃太郎……」 「その通りだよ桃虎ちゃーん」 「うわっ、びっくりした‼︎なんじゃ桃太郎じゃないか殺すぞ」 「あちゃー、アイツら前世ではラブラブなくせに、こっちだとケンカばかりじゃなぁ、前世の記憶があればのぉ……」 「前世の記憶も、私達の助けも、もう要らないわよ…だってあの子は…」 おじいさんとおばあさんを顔を見合わせて同時に言う 「日本一の桃太郎だからの‼︎」 「日本一の桃太郎だからね‼︎」 転生したら桃だった 改め 前世は桃太郎でした 完
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